約 349,518 件
https://w.atwiki.jp/kamikaze4u/pages/215.html
午前6時 麻衣は懐中電灯だけが頼りの暗い船内でただ一人、行方不明者を捜索していた。 数分前、麻衣と軍人に迫りくる死体達だったが、動きはそう早くない為上手く掻い潜り、軍人と協力して銃で撃ち重ねた死体の上にワンダーナイトメアで一体を気絶させ死体の山を作って足止めをした。 これで少しはこのフロアを探索する時間を稼げただろう。 「さっきの人、ちゃんと外にでられたんやろか…。」 一緒にいた軍人は大和の船に報告と援護を求めに甲板の上へと登って行ったのだが、正直女一人残していくとは情けないものだ、と感じずにはいられなかった。 「…ここも壊されてる………そう簡単には見つからへんか…。」 既に三つ目のキャビンを捜索していたが、どのキャビンも無線は破壊されて使える状態ではなかった。 小さく呼気を落とす麻衣だが、収穫も一つあった。 無線同様、各部屋で壊されているものがあったのだ。 それは”鏡”。 血がべっとりとくっついたそれは粉々に砕かれている為、恐らく死体軍人がやったのだろう。 死体が意志をもってやったものなのか、”女”がそうさせているのか…… そんなことを考えながら、次の部屋へ向かうべく廊下へ出ると、再び死体軍人が動き出そうとしている。 しかしまだ重く積み重なった死体の山は崩れず、こちらに気づかれぬまま隣の部屋に逃げ込むことができた。 逃げ込んだ部屋は一般キャビンではなく、30人程入れそうな食堂だった。 食事をする他、会議なども行うのだろう、ホワイトボードや地図などが置かれている。 「ここにはまだ血の痕がない…」 …ヴヴヴ… 「!」 突然小さな振動とバイブ音を感じると、心臓が微かに跳ねるがそれが自身の携帯だと気づけば、麻衣は静かに電話を取った…。 ☆☆☆烏月揚羽の報告 『マイティッ!大丈夫!?無事!!?』 「…ッ…先輩、耳が痛いんやけど…。」 『え、ナニ!?電波悪くてよく聞こえないんだけど!! …あーっとまぁ、いいや!とりあえず調べたこと報告するね!!』 「…耳が……いえ、なんも。お願いします。」 死体の山を作り上げた直後、一度揚羽からの着信があり、海難事故や皮膚の溶けた死体について調べてもらっていた。 『えっとねー、図書館の古い新聞で出雲の記事があったよ! 40年前なんだけど、研究発表会?みたいなパーティで客船が出てたらしいんだけど、沈没したっていう海難事故の記事。 新聞では事故ってなってるんだけど、妊婦さんが生き残ってて、その孫らしい人が最近ネットでオカルト系のサイトに書き込みしてたの。 、、女と目が合うと肌が溶けるとか、船客を全員殺した―とかなんとか…なんかちょっと、ていうかかなり怪しいけど、今回の事件には似てるかなーって思ってさ…あ…』 と、そこで電波が途切れてしまった。 大和の軍艦に電波中継地があるものの、あまり安定しないようだ。 「…女、肌が溶ける…確かに現状と似てる…。 目が合うと…ってことは、鏡で跳ね返せるんやろか…?」 思い出したのは先ほどの割れた鏡…あまり信憑性はないものの、試してみる価値はあるかもしれない。 ☆☆☆柳茜の報告 揚羽の電話が切れた後、数秒して再び電話がなった。 ポケットにしまおうとしていたそれを再び耳に当てる。 『天瀬先輩、無事ですか?柳です。』 「柳、大丈夫やよ。ありがとう。 ついさっき烏月先輩からも電話があったわ。 こっち電波が安定しないみたいで、途中で切れてしもたけど。」 『ああ、そっか。海上ですもんね。じゃあ、通話し続けるのは難しいか。 …とりあえず、報告です。 ”皮が剥がされた状態で死んでいる”って感じのオカルトネタをネットで検索したんですが、40年前の海難事故がそれっぽいですね。』 「…妊婦が一人生き残ったとか…いう?」 『先越されてましたか…そう、それです。 犯人の女の名前は”リカ”出雲の研究者の娘だそうです。』 柳の話は、40年前の海難事故唯一の生存者、当時妊婦だった女性の孫がその惨劇の真実を綴ったものだった。 「リカ」と呼ばれる20代前半の女性はパーティーの最中突然狂ったように次々と船客を殺めた。 リカが見るだけで人の皮膚は薬品で溶かされたようにすべて剥がれ落ち、皆、痛みに絶命していったという。 妊婦の女性は船の機械室の隅に隠れてやり過ごしていた。 リカが燃料タンクに火をつけるため階段を下りてきたときは絶体絶命と思ったものの、なぜかリカは妊婦の女性を見逃した。 命からがら立ち去る中僅かに振り返ると、リカは子守唄を歌いながら、おなかをさすっていたように見えた…という。 『…と、こんなところですね。 まぁ、オカルトサイトの書き込みなんで信憑性は低いですけど。 それと、リカのその力は有機物にしか利かないらしいです。 漫画とかアニメだったら鏡で反射、とか出来そうですね。』 「色々、ありがとう。 子守唄…歌ったら成仏してくれたりするんやろか…」 『…先輩の歌声、聞いてみたいですね。 なんならこのまま通話つづ…』 と、そこで再び電波が途切れた。 「…うちの美声が聞かせられなくて、残念やな…」 冗談めいた口調で独りごちると思わずふっと表情が緩むが、すぐに気を取り直して探索を再開した。 ☆☆☆ 「―…………あ。」 ホワイトボードや地図、テーブルの下をくまなく探していると、一つの椅子の上に無線が置いてあるのを見つけた。 無線を手にすると、僅かな希望に呼吸と脈が早まる。 ―ジジッ…ピーッ… 「…繋がる…。…………シュウ…?」 ―ジジッ…ッ…『…やぁ、麻衣。そこで何してるの?』 「…何って…随分呑気やね。ってうちも呑気なこと…。 シュウ、…無事でよかった。」 聞こえてきた声に反射的に言葉を返すと、現状とは反した穏やかな空気に自然と微かな笑みが零れた。 ―ジジッ…『あはは、無事っていうのはこの状況から脱した時のことを言うんだよ。』 相変わらずの軽口を聞けば、どこかホッとしてしまうが、やはり危機的状況には変わりない。 のんびりと話をしている場合でもないのは確かだ。 「せやね。今何処?うちは食堂やけど…美澄さんや二ノ宮さんは一緒におるん?」 ―ジジッ…『二ノ宮は操舵室に居たはずだけど、無線が破壊されたみたいで音信不通。 美澄少尉は一緒にいる。エンジンルームでちょっとした仕掛けを作っててね。 最悪、この船ごと爆破して逃げるつもりさ。 麻衣、怪我しないうちに戻りなよ。僕は大丈夫だから。』 「随分派手な脱出劇やね。 …此処まで来て放って帰れるわけな…」 ―ガチャッ! 背筋が凍るような寒気が再び麻衣を襲う。 「!?」 突然食堂の扉が開くと同時、赤い服の女がまるで空気のように、すっと流れるように入ってくる。 血の気の無い青白い肌に顔も見えない乱れた長い黒髪、魔物ではないが、生きた人間でもない。 やはり幽霊、というものが一番しっくりくるのだろう。 何故かあれ程までの狂気に満ちた惨状を目にしてきたのに、自分に対しての殺意は感じられない。 それよりもどこか苦しそうな…、寂しそうなそんな気配さえ感じると、思わず言葉が漏れた。 「リカ…さん?」 『・・・・・。』 ―ジジッ…『麻衣?何かあった?』 『ォ・・・ト・・・コ!!!』 シュウの声が聞こえた途端、黒髪が逆立ち、血走った眼がその隙間からのぞいた。 今まで感じなかった憎悪、殺意がむき出しになり、全て吐き出された一言の”男”に向けられているのだと瞬時に理解する。 「シュウ!そこに居ったら危険や!」 思わず声を荒げる麻衣だったが、時すでに遅し…無線は通じず、女の姿もまた此処にはなかった。 急いでエンジンルームに向かおうとする麻衣だが、その行く手を遮るように死体軍人たちが列をなして向かってきている! このままエンジンルームに向かうべきか…別の手段をとるべきか…。 今、究極の選択が迫られている。 麻衣…HP550/MP335/OP20 状態:疲労(探索時や怪異に遭遇時、HP・MPの減少速度が早い)
https://w.atwiki.jp/kamikaze4u/pages/101.html
日野守桜ストーリー内容 第一話
https://w.atwiki.jp/kamikaze4u/pages/119.html
鬼ヶ原空と鎮守由衞は噂の正面玄関口をくぐり、エントランスへやってきた。 今は人も多く行き交い、恐怖感はないが… 「なーんか面白いこと起きないかな?」 両手を首の後ろに組みながら、だらだらと歩いてくる由衛。 「ん…、む。面白いことならいいんだけどな…………。」 玄関の外に不気味に広がっている紫の霧を眺めると、プルと小さく肩を揺らして。 「へー、もしかして怖い?とか?」 意外、と別段興味を持っている様子ではないくせに、ワザとらしくからかうような物言いをする由衛を一瞥した空は、無視して調査を進めた。 玄関口には特に変わったところはない、傘立てに置き傘らしい傘が数本並んでいるが赤い傘は見当たらなかった。 エントランス正面にはいくつもの石像が並んでいる。 「動き出したり…とかないよな?」 じっと見つめあった後、思わずつんと指でつついてみた空。 「さ・・わ・・っ・・た・・ね・・・・?」 「ひゃ…・・・・・・て、おいこら。」 つついた直後に石像からおどろおどろしい声が響いたかと思えば、背後に見えたのは由衛の姿。 小さく悲鳴に似た声を漏らした直後、その姿に半目で突っ込む空だったが、由衛は相変わらずの飄々とした笑みで「キャー、コワーイ」などと軽い口調で言っていた。 「あの……もしかして、七不思議を調べてる方々ですか?」 いつの間にか二人の傍に立っていた小柄な女性は、大学部の事務員の池田和子と名乗る。 「外の紫の霧のせいで、魔術系の実技補講が出来なくて困ってるんです。 原因を調べてもらえませんか?」 「えー、めんどくさいなー。なんか報酬出るn―・・」 「いいですよ、私たちも困ってましたし。ところで、池田さんは七不思議の噂って何か知りませんか?」 「え、えっと・・・いいんですか?ありがとうございます。」 由衛の自由奔放さに呆気に取られる池田だったが、すかさず空が言葉を遮りながら軽く請け負うとついでに噂について尋ねた。 「えっと、そうですねぇ、、、この石像の噂で、メインエントランスの石像の中で、放課後4時44分44秒に一体だけいつもはいない石像があって、その石像を見た人は、44日後に死ぬとかいうのがあったんですが私が学生の頃の話ですし……もう18時ですものねぇ。 …あ、最近のなら、事務局の傍のエレベーターも何かあったような…」 どうやら、石像の噂はもう廃れた話のようで、事務局近くのエレベーターについては噂があるらしい、ということだけで詳しくは知らないらしい。 事務局に行けば他にも人がいるということなので、何か情報を得ることは出来るかもしれない・・・ 【事務局】へ行けるようになりました。 【依頼:紫の霧】を請け負いました。 戻る
https://w.atwiki.jp/kamikaze4u/pages/244.html
2月2日、それは痛ましい事件だった…・・ 朝目が覚めると老若男女問わず、悪魔や竜でさえも『ツインテール』になっていたという。 …ということで、GMの完全なる職権乱用にて、 PLの皆様より頂いた『ツインテール』イラストの数々をここに残したいと思います。 ご参加頂いた皆様ありがとうございました!(PC敬称略) 芽衣子@まなぎ様 桜@練PL様 ありす@ユウ様 かい、空@凪砂様 つつじ@松様 揚羽@うに子様 ハナ@Noche様 維胡琉@ナツ様 コモ、芽衣子@水無瀬様 練、維胡琉、ハナ@祠堂PL様 沙耶、雪乃@藤八PL様 カノン@Sicca様 凛桜、麻衣、揚羽@豆
https://w.atwiki.jp/kamikaze4u/pages/175.html
1 遺跡神殿。 既に最奥へ続く門は、昨日…3月31日の出来事(正確には4月1日の深夜だが)により開いていたこの門の先に先行する者を行かせ、残ったメンバーで依頼をこなそうとしていた。 左右の部屋には、飛鳥軍の軍人が討伐してくれたとはいえ、まだ気配がする。おそらく骨クジラ、そして謎の巨大魚がまだいるのだろう。 骨クジラに突撃したのは、風精召喚・瑠璃で自分の分身を増やし、フロイントLv1で斬りかかる烏月揚羽と螺旋棍Lv1とABBA+IFの柳茜の組み合わせで攻撃を仕掛ける。 骨クジラが骨の尻尾でなぎ払ってくるが、それを白神凪が加速装置作成Lv3からの二人にエクセルLv1の発動で防ぐ。 次いで往復尻尾攻撃をしてきて、それを回避しきれずに揚羽と茜はダメージを受けるが、志島武生がフォートランLv1で二人の傷を癒す。 そこに、天瀬麻衣の奥義、煌魔のエクスハティオが発動し、茜の螺旋棍Lv1+ABBAのコンボで骨クジラを撃破した。 ギリギリで行成ハナがサーチアイをかけたお陰で、依頼もついでに達成した。 2 一方、謎の巨大魚の方には板垣勝猛が絆一願で人形・キヨオキと共に喝砕波を放ち、先陣を切る。 同時に、桜木有布もフロイントLv1発動からの一光流で巨大魚に斬りかかった。 幸村カヤのサーチアイLv2により、巨大魚はジンベエという名前で、風属性が弱点ということがわかった。 しかし風属性持ちはおらず、もう一度、藤八沙耶のコンセントレートLv1からのコクールLv1を合図に勝猛は空中楼閣、有布は連打で畳み掛ける。 半分くらい体力を削った時だった、ジンベエの体から白いガスのようなものが吹き出て、前線にいた勝猛と有布の体が石化する。 リバイバルハートなら麻衣、白波なら武生が覚えているものの、ブレスLv2を使える者はここにはおらず。 ジンベエは更に、巨体とは思えぬ泳ぎから沙耶に噛み付く。沙耶はサンダガンで応戦、カヤもグッドラックをかけて補助をしたが、沙耶の一撃も弱点が風のみの相手にはさほど効かず。 続けて近づかれた所、同じように石化ガスをジンベエは発動し、沙耶とカヤも行動不能に陥ってしまった。 3 骨クジラのメンバーが駆けつけた時は既に遅く、4人の石像が砕かれ、全員戦闘不能にされて倒れてしまっていた所だった。 すかさず武生、麻衣が白波、リバイバルハートLv1をかけようとしたが、ジンベエの目が妖しく光り、目からビームを放ち二人はたちまち石化してしまった。 回復できるメンバーが続けて倒されたため、残りのメンバーは一斉攻撃をしかける。 揚羽は瑠璃と共にフロイントLv1を、茜は螺旋棍Lv1からのABBAを。補助でハナの喝がかかった。 凪も弱点という事もあり、風雪の玉Lv1を放つ。 そのお陰でジンベエを倒すことに成功したものの、回復ができるメンバーは最奥から戻らないため、仕方なく揚羽・茜・凪・ハナはカヤ、沙耶、勝猛、有布をまず救助し一度船に戻すと、なんとか石化の魔力が解けた麻衣と武生と共に、最奥へと向かうのだった。 依頼:魔物の生態調査(8種類)達成 依頼:最奥の地へ達成 全員…戦闘勝利(30) 武生…回復(5) 揚羽・茜・凪・ハナ…救助(10) 戻る
https://w.atwiki.jp/kamikaze4u/pages/150.html
チャクシン プロローグ 前編 中編
https://w.atwiki.jp/kamikaze4u/pages/164.html
藤八沙耶、六角屋灼、志島武生、向坂維胡琉の四人は大学部の事務局へ向かっていた。 エントランスに入ると、ふと武生が外と室内を見比べるように視線を移した。 「そういやこの霧、室内には入ってこないんだな…」 解放された扉ではあるが、扉の外で壁を作るように漂う紫の霧。 しかし室内でも魔素を感じないということは、目に見えないだけでその力の影響力は室内にも及んでいるのが身をもって分かるだろう。 事務局につくと、二人の事務員が机に向かっていた。 小柄で存在感が大分薄い女性、池田和子と若い女性の職員だ。 池田は貴方たちに気づくと、受付口に近づいてきた。 「…あの変な霧のこと何か分かりました?」 「ども…依頼人の池田さん?まだ大した情報は入ってないんすけど…」 灼が軽く頭を下げると、池田は頷き続いた言葉に小さくためいきをもらしながら頬に手を当て困ったわと呟いた。 「…何年か前の夏にも、紫の霧が和風庭園付近に発生してたらしいんですが、当時の記録などが残っていないんですか? 」 「あと、それから数年前の今頃に大学部か高等部の生徒が、”神風学園七不思議”を調べていた、というようなことはなかったでしょうか? 」 武生の質問に続き、藤八も片手を挙げて問うと僅かに首を傾けた。 「以前にも?…知らないわね。知ってたら貴方たちに依頼する必要がないでしょう? …私は此処で一番長く勤めているけどそういったことは今までに聞いたことがないわ。 でも高等部のことならもしかして…稲葉さん…あなた高等部で七不思議を調べたことがあるって言ってなかったかしら?」 「え?…あ、はぁ…私が直接調べたというわけではないんですけど、私が高等部の二年の時。 …10年前ですかね…調べた人達はいたみたいですよ? 生徒会が中心になってたみたいですけど、今回の皆さんほど大掛かりではなかったですし、あの時は高等部だけのことみたいでした。 時計棟の噂とか桜の木の下の噂とかはその頃から有名でしたね。」 「10年前…私や揚羽が高等部に上がる前だね…そんなことがあったんだ。 …けど、ここではこれ以上詳しくは聞けないかな?他の場所にいってみようか…」 眉をかすかに寄せながら維胡琉が呟くようにそういうと、三人も頷き事務局を後にするのだった。
https://w.atwiki.jp/kamikaze4u/pages/94.html
烏月揚羽ストーリー内容 第一話
https://w.atwiki.jp/kamikaze4u/pages/52.html
【1】静かなる不穏(漣港) 【2】静かなる不穏(村外れの家) 【3】静かなる不穏(海岸沿い) 【4】静かなる不穏(雑貨屋タイショー) 【5】静かなる不穏(宿酒場民羽) 【1】碧海の海(海底遺跡海上) 戻る
https://w.atwiki.jp/kamikaze4u/pages/127.html
貴方たちは各々手分けして、紫の霧の中依頼をこなした。 探索中殆どの者が気づいたのは、何故か霧は学園内だけに留まっているということだった。 時刻は18時半、日の長い夏でもようやく空が赤く染まる頃だ。 しかしぼんやりと夕日の光が霧に霞み、赤紫に変化した霧はいっそう不気味さをかもし出している。 「ふっふっふっふ、いよいよ雰囲気が出てきたねぇ! 君たち、人助けも大事だけどちゃんと調査も進んでいるんだろうね? …………ふむふむ、なかなか面白い!では引き続き探索を進めてくれたまえ!」 不気味さを一気に吹き飛ばすような二郎の声が響く。 貴方たちの報告をノートに纏めながら表情はさらに明るくなり、両手を広げて言った。 「予報ではそろそろ雨が降るらしいから、(・・お腹も空いてきたことだし。)僕は食堂でも調べに行こうかな!」 そういって、二郎は颯爽と白楼館に姿を消していった。 霧に覆われている為雲が出てきたのかは分からないが、少し湿気を孕んだ風が出てきたようだ。 もうじき雨が降るのだろう・・・